院長コラム

遺伝するがん、遺伝性乳がん卵巣がん症候群について

ハリウッド女優のアンジェリーナ ジョリーさんが遺伝学的検査によって遺伝性と診断され、乳がんや卵巣がんが発症する前に乳房や卵巣を切除してしまうリスク低減手術を受けたというニュースでこの病気の存在が一気に有名になりました。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群は、乳がん全体の10%を占めています。BRCA1という遺伝子に生まれつき変異(正常に働かない)があるため、一般の人より乳がんや卵巣がんが発症しやすくなっている状態です。

この遺伝子が作るタンパク質はDNAに生じた傷を修復する働きがあります。傷を治さずにそのままにしておくと、変異が取り除かれずに蓄積してしまい、がんを引き起こす原因になります。BRCAに変異がある人すべてががんを発症するわけではありませんが、変異がない人よりも、発症するリスクは高く、80歳までに70%乳がん、40%卵巣がん発症すると言われています。

予防的乳腺、卵巣卵管切除術は、2020年より保険適応となりました。
診断基準は以下の通りです。

診断基準

• 45歳以下で乳がんと診断された方
• 両側の乳がん(同時性あるいは異時性)
• 片方の乳房に複数回乳がん(原発性)
• 60歳以下で、トリプルネガティブの乳がん
• 血縁者に乳がん、卵巣がん、膵臓がんあり
• 男性乳がん