院長コラム

脂肪肝は肝臓のみの病気にあらず²

前回、脂肪肝はアルコール、アルコール以外に原因がある。
アルコール以外が原因の脂肪肝も同じだということを説明しました。

健診の世界では、メタボ健診が熱心におこなわれています。
なぜこれほどまでに腹囲を測って、メタボを見つけ出し、保健師さんや産業医のお世話になるのでしょうか?
理由は、メタボ(肥満)病気を発症する前段階だからです。
運動不足や食べ過ぎにより、内臓脂肪が過剰に蓄積され、更に過剰な状態が続いて内臓脂肪としてためきれなくなった脂肪は、肝臓に運ばれて脂肪肝となります。
肝臓内に蓄えることを要求され続けた結果、耐えられなくなった脂肪組織は、自己防衛をするために慢性炎症を起こし、炎症性サイトカインを大量に分泌します。

炎症性サイトカインは全身の血液中に送られて、血管壁に炎症を起こして結果として、プラーク(コレステロールなどのかゆ状の塊)の形成して動脈硬化を進行させます。不安定なプラークの膜が破れると血栓ができて血管を詰まらせ、命にかかわる心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまいます。

 慢性炎症が続いた結果、内臓脂肪組織から分泌された炎症性サイトカインは、全身の臓器でのインスリン抵抗性(血糖値を正常範囲に保つ働きをするインスリンの効きが悪くなる)を高めることが知られています。

 このように、肝臓におこった慢性炎症は発がん(肝臓がん)のリスクのみならず、全身病の発症に強く関係していることが知られるようになりました。

脂肪肝というネーミングが一人歩きしないように、最近では専門領域では脂肪性肝疾患と表現が変化してきています。

令和6年8月には日本消化器病学会と日本肝臓学会協同で、脂肪性肝疾患を更に、炎症のあり、なしで大きく2つの概念に分けるようになりました。

これまで異なり、原因で分類するのではなく、炎症のある、なしで分類するようになったのは、肝臓の病気にとどまらず、MASHになると全身病ですよという意味合いがあると理解しております。

MASLD(マッスルド:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
MASH(マッシュ:代謝機能障害関連脂肪肝炎)

MASLD,MASHの正式な定義や診断基準はこれから決まっていくと思います。

一般の方にももっとわかりやすい言葉や定義になるとより良いと思っております。