院長コラム
肝臓病とコレステロール治療薬(スタチン)
コレステロールが高い方の多くが内服しているスタチンという薬。
スタチンにはコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させ、動脈硬化の結果として発症する様々な病気を抑制する(発症予防、つまり2次予防効果)が医学的に証明されています。
これまでの長年の研究成果として、体の中で起こる様々な悪い炎症を抑制していることもわかっています。
肝臓に対する作用として、2023年にドイツからスタチン服用者は非服用者と比較して肝疾患発症リスクを-15%、肝がん発症リスクをなんと-74%減少させることが報告されました(JAMA Network Open)他の理由で服用しているスタチンが癌の発症を予防できるという報告はセンセーショナルでした。
肝疾患は肝炎ウイルスの罹患者がほとんどいなくなり、多くは生活習慣に由来した「脂肪肝」や「アルコール性肝炎」による肝障害、またそれに伴ういわゆるメタボリックシンドローム(代謝異常)です。
生活習慣の見直しをせずに薬に頼るのは決して褒められたものではありませんが、生活習慣を由来とする代謝異常に対して投薬されている薬が、結果として肝臓の病気や発がんを抑制しているという考えると、スタチンの様々な薬理学的作用を示しています。また血管のみならず、全身に炎症を起こす物質を抑制することがいかに病気の発症や発がん予防に有用かを証明しました。
全身で起こる炎症は、検査値の異常がでないレベルの血管炎(コレステロール過剰状態が引き起こす、血管内の炎症)のみが原因ではないのかもしれませんが、大きな促進因子であることは間違いなさそうです。それを抑えることがいかに重要かということを間接的に物語っているデーターだと思い今回ご紹介させていただきました。
スタチンって良いお薬だと私は思っています。