院長コラム
やる気スイッチ「トリプトファン」
やる気がでないのはその人の心の持ちようだと言われた時代があります。
ヒトのやる気スイッチは一体どこにあるのでしょう?
心でなければ脳?と考えてしまいます。
やる気の正体は神経伝達物質のバランスをとっている「セロトニン」ならびにその材料になる「トリプトファン」だと考えられています。
「トリプトファン」はセロトニン経路によりセロトニンを増加させて、うつ病ならびに不安のような、不安関連の行動を優位に減少させることが証明されています。
最近の動物実験で、慢性的にストレスが与えられたマウスでは、トリプトファン代謝に変化が生じて、その結果として腸内細菌が関与するインドール代謝(トリプトファン代謝経路の一つ)がうまく働かなくなり、他の経路が活性化されて血中のセロトニン、インドールの減少することがわかっています。
このマウスにトリプトファン食を与えると、セロトニンが増加することで、神経炎症の改善、ニューロンを再生させる脳由来栄養因子の発現増加、マウスの脳エネルギー代謝の改善することが示されています。
この実験からヒトのやる気スイッチに「トリプトファン」、「セロトニン」が大いに関連しており、やる気スイッチを整えるために、トリプトファン代謝の中で腸内細菌が関連するインドール代謝がきちんと働いていることが重要であるということが示されました。
腸内細菌がやる気スイッチの調整にとても重要な役割を果たしているって、なんだか腑に落ちませんが、脳腸相関と言われる理由の一つでもあります。やる気が過剰や欠乏しているとヒトは心の病気(躁病、うつ病、不安症など)を発病します。その発症にも腸が関係しているってとても興味深いですね。