院長コラム

胸やけ、ゲップ以外の「逆流性食道炎」の意外なサイン

「食後に胸が焼けるように痛む」そんな経験はありませんか?

5月病の季節、心身の不調をきたして受診する方が多い時期でもあります。転職、入学、転居を追え、新しい生活に必死に適応するストレスや独居、単身、交代制勤務などライフスタイル変化や食生活の変化を背景に、「逆流性食道炎(GERD:Gastroesophageal Reflux Disease)」に悩む人が増えています。かつては中高年の病気とされてきましたが、今や働き盛りの20〜30代でも珍しい病気ではありません。

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。本来、胃酸は強い酸性で、消化のために必要なものですが、食道はそれに耐える構造になっていません。

逆流が起きる原因としては、

  • 暴飲暴食
  • 脂っこい食事や甘いものの摂りすぎ
  • 寝る直前の食事
  • 加齢による胃の弁のゆるみ(下部食道括約筋の機能低下)
  • ストレスや喫煙、アルコール

などが挙げられます。

主な症状

「胸やけ」が代表的な症状ですが、それだけではありません。

  • 喉の違和感、声がかすれる
  • 咳や喘息のような症状
  • 胸の痛み、つかえ感
  • 酸っぱい液体が口に上がってくる(呑酸)

など、「これも逆流性食道炎だったのか」と驚くような症状もあります。

自分でできる予防と対策

軽度の逆流性食道炎なら、生活習慣の見直しで症状が改善することもあります。

食生活の見直し

  • 食べすぎない(腹八分)
  • 高脂肪・刺激物・カフェイン・アルコールを控える
  • 寝る前2〜3時間は何も食べない

姿勢と習慣の工夫

  • 食後すぐ横にならない(できれば左側を下にして寝ると負担が軽減)
  • ベッドの頭側を少し高くする(10〜20cm程度)
  • ゆったりとした服を着る(腹部の締めつけを避ける)

ストレス対策

  • 適度な運動
  • 適度な睡眠

症状が続く場合は当院へご相談ください

市販薬(ガスターなど)で一時的に良くなることもありますが、長引く場合は消化器内科の受診をおすすめします。逆流性食道炎が長期間放置されていると、食道狭窄や食道がんのリスクにつながることもあります。症状がつづいている場合は、ぜひ気軽にご相談ください。