院長コラム
便秘は、体の「SOS」かもしれません
たかが便秘、されど便秘
「何日も便が出ない」「出てもすっきりしない」――“便秘”の典型的なサインです。
便秘は、女性や高齢者に多く見られますが、近年ではストレスや生活習慣の乱れから若年層や男性でも増加傾向にあります。
「たかが便秘」と放っておくと、体だけでなく心にもさまざまな影響を及ぼすことがあります。
今回は、便秘の原因や種類、そして解消のための正しい対策について詳しくご紹介します。
便秘とは?
便秘は「排便の回数や量が減少し、排便が困難である状態」と定義されていいます
医学的には週に3回未満の排便や、排便時に強い力みが必要な状態が続いている場合は、便秘と考えられます。
🔍 便秘の主な原因とタイプ
タイプ | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
弛緩性便秘 | 大腸の動きが鈍い | 高齢者・運動不足の人に多い |
けいれん性便秘 | ストレスや自律神経の乱れ | 排便時に腹痛を伴うことも |
直腸性便秘 | 排便反射の低下 | 我慢癖がある人、便意を感じにくい |
二次性便秘 | 病気や薬の影響 | 糖尿病、甲状腺機能低下症、抗うつ薬などが原因に |
便秘が引き起こす体の不調
- 腹部の膨満感・不快感
- 肌荒れ、吹き出物
- 食欲不振
- イライラや集中力低下
便秘を改善する生活習慣 〜今日からできる5つの習慣〜
1. 水分をしっかりとる
- 便を柔らかく保つには水分が不可欠
- 朝一杯の常温水が「腸の目覚まし」に
2. 食物繊維を意識的に摂取
- 野菜・果物・海藻・豆類に含まれる
- 特に「水溶性食物繊維(納豆・オクラ・わかめなど)」が腸内の潤滑油に
3. 毎日10〜20分の軽い運動を
- ウォーキングや腹筋運動で腸の動きが活発に
4. 排便のリズムをつくる
- 朝食後は「腸のゴールデンタイム」
- トイレに行く習慣をつけ、便意を我慢しない
5. ストレスケアを忘れずに
- 自律神経が腸の動きを支配
- 睡眠不足・ストレス過多は便秘を悪化させる原因に
便秘薬は「一時的なサポート役」
便秘薬(下剤)には様々な種類がありますが、常用はNGです。
- 刺激性下剤(センナ、ピコスルファートなど)は、習慣性・耐性が生じやすい
- 長期的に使用すると腸が「自力で動く力」を失うリスクも
どうしても辛いときは、市販されている酸化マグネシウムなど非刺激性下剤を、医師と相談しながら使用しましょう。
こんな症状がある場合は医療機関へ
- 便秘が1週間以上続く
- 便に血が混じる、黒色便が出る
- 急激な体重減少
- 強い腹痛や吐き気を伴う
- 市販薬が効かない、便秘と下痢を繰り返す
これらの症状がある場合、大腸がんや炎症性腸疾患など重大な病気のサインの可能性があります。早めに当院もしくは消化器内科を受診しましょう。