院長コラム
たかが“胸やけ”逆流性食道炎が続くと食道がんに?
食道がんとは?
食道がんには大きく分けて2種類あります:
種類 | 特徴 | 主なリスク因子 |
---|---|---|
扁平上皮がん | 日本人に多い | 喫煙、飲酒 |
腺がん(腺癌) | 欧米に多い、日本でも近年増 | 逆流性食道炎・バレット食道 |
今回のテーマは、腺がんと逆流性食道炎の関係です。
バレット食道とは?
逆流性食道炎が長期間続くと、食道下部の粘膜が胃に似た構造(円柱上皮)に変化することがあります。これを「バレット食道(Barrett’s esophagus)」と呼びます。
バレット食道は生態防御的な適応反応の一種ですが、バレット食道は食道腺がんの発生母地として知られています。
逆流性食道炎 → バレット食道 → 食道がん
- 胃酸が繰り返し食道に逆流
- 食道粘膜が傷つき、バレット食道に変化
- 炎症による組織修復の過程で、細胞の一部が異常増殖(異形成)を起こし、腺がんへ
※腺がんへの進行リスクは、一般的には年間0.1〜0.5%程度ですが、バレット食道を持つ人は一般の方に比べて約30〜125倍のリスクがあると報告されています。
食道がんの早期発見は難しい
食道がんは、早期ではほぼ症状が出ないことが特徴です。症状(つかえ感、胸痛、嚥下困難)が出た際にはすでに進行がんとなっていることが多いため、定期的な胃カメラ検査が重要です。
逆流性食道炎の対策
項目 | 内容 |
---|---|
生活習慣の見直し | 禁煙、節酒など |
逆流を助長する食事内容の見直し | 脂っこい料理、カフェイン、香辛料、炭酸など |
薬物療法 | 制酸剤で胃酸の逆流を抑える |
定期的な内視鏡検査(胃カメラ) | バレット食道の有無、粘膜の変化を観察 |