「最近食べ物がつかえる」もしかして好酸球性食道炎かもしれません |【苦しくない・痛みの少ない大腸カメラなら】福岡天神駅徒歩5分/駅直結 内科 胃腸内科「麻生クリニック」

院長コラム

「最近食べ物がつかえる」もしかして好酸球性食道炎かもしれません


好酸球性食道炎(EoE:Eosinophilic Esophagitis)

好酸球性食道炎は、アレルギー性の慢性炎症が起こる食道疾患です。

食道粘膜に「好酸球」というアレルギー反応に関与する白血球が異常に集まることで、食道粘膜に炎症を起こした結果、食道粘膜がむくんで食べ物がつかえるなどの症状が出現します。

近年では子どもから大人まで幅広い年齢層で診断されるようになっています


主な症状

症状備考
食べ物のつかえ感(嚥下困難)特に肉やパンなどがつかえやすい。
胸や喉の違和感・胸焼け逆流性食道炎と似た症状
食事中の嘔吐・食欲不振若年者に多い。
症状なし実は一番多い。

大人は食道がんや逆流性食道炎と、子供はうつや代謝疾患と誤診されやすいのが特徴です。


原因とメカニズム

明確な原因は解明されていませんが、特に若年者では以下の要因が関与していると考えられています:

  • アレルギー体質(喘息、アトピー、花粉症)との関連
  • 食物アレルゲン(乳製品、小麦、卵、大豆、ナッツなど)
  • 環境因子
  • 遺伝的素因

食道に慢性的な炎症が起こることで、線維化すると、狭窄や拡張不全が進行することがあります。


診断

以下のステップで診断されます:

  1. 内視鏡検査
     → 食道の縦ひだ・白斑・狭窄などの粘膜の異常を観察
  2. 組織検査(生検)
     → 食道粘膜に好酸球が15個/高倍率視野以上あれば診断

治療

1. 食事療法

  • 6大除去食(乳、小麦、卵、大豆、ナッツ、魚介類)で症状が改善するか確認します

2. 薬物療法

  • ステロイド(フルチカゾン、ブデソニド)を内服・嚥下投与
  • 酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬):逆流性食道炎の治療薬が奏功する症例があります

3. 内視鏡的拡張術

  • 重度の狭窄がある場合に行われる処置。食道を物理的に広げる。

日常生活での注意点

  • ゆっくり噛んで食べる、食べ物をしっかり飲み込む
  • 水分と一緒に摂取することでつかえを予防
  • 症状と食品の関連を記録する

好酸球性食道炎は、良性疾患ですが、放置すると食道が狭くなり、食事ができなくなる場合もあります。“食べにくい”と感じたら、ぜひ早めに消化器内科専門医に相談して、内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。