「検査で異常なし・・・でも痛い」“感じすぎる腸”過敏性腸症候群は内蔵知覚過敏 |【苦しくない・痛みの少ない大腸カメラなら】福岡天神駅徒歩5分/駅直結 内科 胃腸内科「麻生クリニック」

院長コラム

「検査で異常なし・・・でも痛い」“感じすぎる腸”過敏性腸症候群は内蔵知覚過敏


「内臓知覚過敏」とは?

内臓知覚過敏(Visceral Hypersensitivity)とは、内臓(胃・腸など)がわずかな刺激にも過敏に反応し、痛みや不快感を過剰に感じる状態を指します。特に消化管領域では、機能性消化管疾患の根本的なメカニズムと考えられています。


なぜ“感じすぎる腸”が問題なのか?

通常、人の腸は食物やガスが移動することで圧力や膨張を感じますが、それを「痛み」や「強い不快感」として感じないように脳で信号強度が調整されています。

ところが、内臓知覚過敏のある人では、この調整がうまくいかず、以下のような症状をきたします。

  • わずかなガスでも「腹部膨満感」「痛み」として感じる
  • 普通の食事量でも「つかえ」「吐き気」として感じる
  • 排便後でも、「残便感」「痛み」として感じる

IBS(過敏性腸症候群)と内臓知覚過敏

過敏性腸症候群(IBS)は、まさに内臓知覚過敏の代表的疾患の一つです。

症状原因との関係
排便に伴う腹痛腸の動きやガスに対する過敏な反応
ガスの張り・違和感腸内のわずかな膨張に過剰反応
排便してもスッキリしない感覚処理の異常による“残便感”

実際に、健康な人では苦痛として感じない腸の圧刺激でも、IBSの患者では痛みを訴えるという研究データもあります。


どこで“感じすぎて”いるのか?──脳と腸の関係

内臓知覚過敏の原因は「腸そのもの」だけでなく、腸と脳の感覚回路=「腸脳相関(brain-gut axis)」の異常によって説明されます。

  • 末梢神経が敏感になる
  • 脳(中枢)での“痛みのブレーキ”が効かなくなる
  • ストレス、不安が、知覚感覚過敏をさらに助長する

“腸で感じて、脳で増幅される”という悪循環が、症状を長引かせていると考えられています。


内臓知覚過敏は目に見えない感覚の病

検査で「異常なし」と言われることほど辛いことはありません。
診断がついても、症状が変わらなければつらいことに変わりはありませんが、診断がつくことで人間は安心できます。
目に見えない不安、診断されないストレスが痛みの知覚過敏を増幅します。
腸だけでなく、脳やこころのケアも含めて治療していくことが大切です。