院長コラム

胃がムカムカする…でも、休むと楽になる

そのサイン、心臓から来ているかもしれません


高齢者の「胃の不快感」…ただの消化不良ではない可能性も・・・

「食後や動いた後に胃が重い」
「ムカムカするけれど、横になると楽になる」
「胃薬を飲んでも効かない。でも少し休むと落ち着く」

一見すると胃の疲れや軽い胃炎のように思われがちなこれらの症状が心臓からのSOSである可能性もあるということをご存じですか?


高齢者では、心筋虚血が“胃の不快感”として現れることがある

高齢者では、典型的な胸痛が現れにくく、代わりに“みぞおちや胃のあたりの不快感”として症状が出ることがあります。

このような症状を来す理由として「心臓の虚血による痛みが、脳に“胃の不快感”として誤って伝わる」関連痛(放散痛)が関係しています。


ポイントは「体を動かした時に悪化して、休むと改善する」こと

状況症状
動いた後、歩いた後、階段を登った後みぞおちの違和感、ムカムカ、胃の重さ
数分間安静にすると自然に症状が軽減・消失

この症状は労作性狭心症の典型的なパターンで、心筋が一時的に酸欠(心筋虚血)になっている状態が症状として出ている可能性があります。特に高血圧・糖尿病・喫煙歴など、動脈硬化のリスクがある高齢者の方は注意が必要です。


心臓からのSOSかもしれない症状

  • 胃の重さ、不快感が、運動で悪化、安静で改善
  • 吐き気や不快感が、胃薬で改善しない
  • 安静にすると改善する
  • 冷や汗・息切れ・動悸・だるさを伴う

“休むと楽になる”という表現は、胃よりも心臓に由来する症状を疑うポイントです。


胃の不調があるときは、我々消化器内科専門医もこうした重大な心臓疾患の可能性も考えて診察しています。患者さん自身がこれは胃、これは心臓と区別することは難しいと思いますので胃の不快感がなかなか良くならない場合は、ぜひ一度当院までご相談ください。