院長コラム

便秘の方、胃バリウム検査に注意!

5月になり、就職、転職、入学などで転居された方も一通り、生活のセットアップも終了して新しいかかりつけを探されて受診される方も増えてきました。同時に急に暖かくなったり、寒くなったり、寒暖差があるこの季節はお腹の不調もでやすい印象です。

便秘をお持ちの方も環境変化により不調になりやすいため、当院でも大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を希望される方が増えてきました。大腸カメラをしていると、大腸が曲がりやねじれが、通常より多い方がいらっしゃいます。私がフランスに留学している際に欧米の方に大腸カメラを行ったことがありますが、欧米人も大腸検査が難しい方はおられていますが、日本人ほどねじれていません。

日本人の方がねじれている詳しい理由は分かっていませんが、食生活や遺伝も影響していると考えます。日本人で教科書的な大腸をしている方はわずかに20%、なんと5人中4人は腸がねじれていると報告されています。このような「ねじれ大腸」をお持ちの方は当然便がスムーズにでてきませんので便秘になりやすいといえます。「ねじれ大腸」の方が健康診断などのバリウム検査(胃バリウム検査)を行うと、残っている便でバリウムがせき止められて、バリウムが出せずにそのまま固まる結果、腸閉塞になるリスクがあります。このような理由から、当院では男女ともに便秘の割合が急激に増える60歳以上の方に健診での胃バリウム検査をおすすめしていません。

ねじれ大腸を持っている可能性がある方(下記のリスト)は、ぜひ健診をバリウム検査でなく胃カメラでうけましょう。また便秘の原因はねじれ大腸だとは限りません。自己診断されずに、内科診察、血液検査、大腸カメラで他の病気(大腸がん、糖尿病、甲状腺などの内分泌疾患、パーキンソン病などの神経疾患)ではないことを必ず確認しましょう。

ねじれ大腸の可能性がある方

1)子供(小学生~)から便秘だった
2)腹痛を伴う便秘になったことがある
3)便秘後に下痢や軟便になりやすい
4)運動量が減ったとたんに便秘になったことがある