院長コラム
薬剤性便秘への対応と予防
薬の副作用として便秘が起こることは珍しくありません。我慢する必要はなく、工夫次第で多くの場合は改善できますので、まずは主治医へ便秘が起きたことを伝えることが重要です
1.原因がお薬?と気づくこと
- 薬を飲み始めてから便秘が悪化した
- 下剤を使っても効果が弱い
こうした場合、薬の影響を疑いましょう。
自己判断で中止せず、必ず主治医に相談することが大切です。
2. 薬の調整で改善できる場合も
- 同じ効能の薬剤でも、より便秘の頻度が少ないものに切り替えられる場合があります。(ベラパミル → アムロジピン)
- 製剤の投与方法(内服→静脈注射)を変えるだけで改善することもあります。
3. 生活習慣の工夫
日常生活の工夫も便秘予防に役立ちます。
- 水分をしっかり摂る(特に利尿薬を飲んでいる方は要注意)
- 食物繊維や発酵食品を取り入れる
- 適度な運動で腸を刺激する
- 規則正しい排便習慣をつける
4. 下剤や専用薬の併用
薬剤性便秘では、生活習慣の工夫だけでは改善が難しいこともあります。
- 酸化マグネシウム:便を柔らかくして出しやすくする
- 刺激性下剤:腸の動きを促す(常用には注意)
- 新しいタイプの下剤(ルビプロストン、リナクロチドなど):腸管分泌を増やして便を滑らせる
- オピオイド誘発性便秘専用薬:ナルデメジンなど
病状や薬との相性を考えて、主治医が適切に選びます。
まとめ
- 薬剤性便秘は、原因が薬だと気づくことが第一歩。
- 薬の種類を調整したり、投与方法を切り替えることで改善できるケースは少なくありません。
「薬を飲んでいるから便秘は仕方ない」と思わずに、ぜひ主治医に相談してください。