院長コラム

日本人は脂肪肝になりやすい 人種差による脂肪ののつき方違いから読み解く

日本人に多い痩せ型脂肪肝、lean MASLD(非肥満型脂肪肝)

BMI22未満、お腹も出ていないのに脂肪肝ですか?って健診患者
健診で脂肪肝を指摘された患者さんから、こうした声を聞くことは少なくありません。
実はこの「やせ型脂肪肝」、日本人を含むアジア人に特に多いことが分かっています。

人種差で異なる脂肪のつき方

同じBMI・同じ体脂肪率でも、内臓脂肪のつき方や分布、代謝リスクには人種差があります。

白人系(欧米人):皮下脂肪が多く、内臓脂肪の蓄積はやや遅い。高BMIでも肝機能に変化がないことが多い
アフリカ系:内臓脂肪は少ない傾向。脂肪肝は比較的少ない一方で、他の機序でインスリン抵抗性あり
アジア系(日本人含む):低BMIだが内臓脂肪が蓄積しやすく、脂肪肝や糖尿病リスクが高い

以上より日本人は「内臓脂肪がたまりやすい体質」ということがわかります。

なぜ日本人は内臓脂肪がつきやすいのか?

  1. 筋肉量の少なさ(特に下半身)
     → 基礎代謝が低く、余剰エネルギーが肝臓や内臓周囲に貯まりやすい。
  2. 脂肪酸合成・蓄積に関わる遺伝的体質
     → PNPLA3遺伝子など、肝臓での脂肪代謝に関わる遺伝的リスクが指摘されている。
  3. 糖質中心の食文化
     → 高炭水化物・高GI食で、肝臓での中性脂肪合成(de novo lipogenesis)が亢進しやすい。
  4. 運動習慣の不足
     → 皮下脂肪よりも内臓脂肪の蓄積が先行しやすい。

「痩せ型脂肪肝」が増加

実際に、MASLD(脂肪肝)は欧米では肥満者中心の病態とされますが、日本ではBMI<25でも発症するlean MASLD(非肥満型脂肪肝)が多く報告されています。日本人のMASLD患者の約30〜40%は非肥満とも言われており、身長、体重測定、BMIでの判断ではスクリーニングではlean MASLD(非肥満型脂肪肝)は拾いきれません。

「太っていないから大丈夫」は通用しない

標準体型の方の、軽度ALT値異常や脂肪肝の超音波所見をスルーしてしまうと、lean MASLD(非肥満型脂肪肝)は永遠に拾いあげられません。特にアジア人では、体重にかかわらず脂肪肝の進展が早いケースがあるため、以下のような点を注視した拾い上げ意識が必要となります

・ALT軽度上昇(30〜50)でも、継続的なら精査を
・BMIが正常でも、脂肪肝の超音波所見があれば要注意
・糖尿病、高血圧があれば、肝臓にも目を向ける

まとめ

・日本人は体重に比べて内臓脂肪をためやすく、脂肪肝になりやすい人種
・やせている脂肪肝はアジア人特有
・痩せ型脂肪肝はメタボ健診(BMI)では拾い上げ困難
・太っていないから大丈夫はもう過去の話