院長コラム

脂肪肝は全身病(動脈硬化との深い関係)

沈黙の臓器、肝臓からのメッセージ

脂肪肝は痛みなどの自覚症状がなく、一体なぜ気をつけないといけないのか、あまりピンときませんね。ありません。近年この脂肪肝、肝臓だけの問題ではなく、血管に大きな影響を与える病態であることが明らかになってきました。

脂肪肝は「血管病のサイン?」

最近の研究では、脂肪肝(MASLD:代謝異常関連脂肪性肝疾患)は①動脈硬化性心疾患(心筋梗塞や狭心症)②脳梗塞・脳血管障害③心不全、心房細動などの心臓疾患のリスクを確実に高めることが示されています・つまり、脂肪肝があるということは、血管もすでに“静かに傷み始めている”可能性があるということなのです。

なぜ脂肪肝が血管に影響するのか?

肝臓に脂肪がたまりすぎると、「炎症」や「代謝異常」が起き、さまざまな悪循環が生まれます。

脂肪蓄積で肝臓に起こる変化血管へ影響
インスリン抵抗性の増悪高血糖・高血圧・高脂血症を招き、動脈硬化促進
炎症性物質(IL-6、TNF-αなど)の放出血管内皮の損傷、プラーク形成へ
small dense LDLの増加動脈の詰まりやすさを助長
過凝固状態血栓による心血管イベントリスク上昇

つまり、全身の血管が蝕まれていく嵐の前の静けさの正体とは脂肪肝で肝臓で生じている小さな火種(炎症)に原因があるということです。

肝臓の異常があれば、血管もチェック!

健診「脂肪肝」「ALT高値」「γ-GTP高値」などが出た場合は、以下のような検査も検討することが望ましいです。

血圧
血糖に関する血液検査(空腹時血糖、HbA1c)
脂質に関する血液検査(LDL・HDL・TGなど)
動脈硬化を評価する画像検査(頸動脈エコーなど)

脂肪肝=将来、代謝疾患が発症する予兆である

・脂肪肝は肝臓病名であると同時に動脈硬化のリスクサインでもある。
・高血圧、糖尿病、高脂血症が今後発症するかもしれないととらえることが大切。
・肝機能の数値で一喜一憂することなく、血管年齢を評価する新しい視点が必要。