院長コラム
飲酒しても脂肪肝で止まる人と止まらない人の違い・・・・その分岐点とは?
「お酒飲みの人みんなが同じように進行するわけではない」のが脂肪肝の難しいところ
「お酒を飲んでいるのに、ただ脂肪肝の人」と「肝炎や肝硬変に進む人」がいます。何が運命の分かれ目になっているのでしょうか?実は答えは一つではなく、遺伝的要素、代謝性リスク、飲酒量以外の環境要因、腸内環境、免疫反応など、多くの要素が絡み合っています。
PNPLA3(遺伝)だけではない複雑な構図
PNPLA3遺伝子ってご存知ですか?実はこの遺伝子変異が、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の進行を促進することが広く知られています。PNPLA3はアルコール性肝硬変の発症とも関連していることが報告されています。さらに、HSD17B13遺伝子も脂肪肝の進展に関与していることが、日本の研究から示されています。
遺伝病?、脂肪肝は多因子疾患
飲酒していても進行しない人と進行する人を分ける要因には、以下のようなものがあります
- 飲酒量と継続年数:大量飲酒・長期間の摂取と相関
- 代謝疾患リスク:肥満、高脂血症、インスリン抵抗性の有無が病気の発症には重要
- 栄養状態:アルコールによる栄養不良やビタミン欠乏が病態の増悪には重要
- 免疫応答:腸粘膜バリア機構の破壊による内毒素(LPS)流入が炎症を誘発
つまり、遺伝と生活習慣が複雑にからみあって、進行の有無が決定しています。
脂肪肝が進行する人・しない人の違い
| 要因分類 | 進行しない人の特徴 | 進行する人の特徴 |
|---|---|---|
| 遺伝的背景 | リスク遺伝子変異なし | PNPLA3などリスク遺伝子変異 |
| アルコール暴露 | 適量摂取、断続的 | 長期間、大量飲酒 |
| 代謝状態 | 代謝状態正常 | 肥満、インスリン抵抗性 |
| 栄養状態 | 正常な栄養状態 | 栄養不足、ビタミン欠乏 |
| 免疫 | 粘膜バリアは正常 | 粘膜バリアの破綻 腸透過性亢進による炎症増強 |
脂肪肝の進行は
肝臓への脂肪蓄積と病態の進行は、単に「遺伝」とか「飲酒」とかで割り切って説明できるものではありません。遺伝的背景を元にどんな環境因子や代謝背景が積み重なるかによって進行度が決まります。
私は脂肪肝の患者さんには患者さんに「遺伝的素因以外に、日地のお酒の飲み方、栄養状態、腸の健康状態が肝臓の運命を決めています」と説明させていただいております。