院長コラム
噛む力が消化管を守る?口と胃腸の深い関係
噛む力を見直そう
子どものころから何度となく「よく噛んで食べましょう」と学校で言われていませんでしたか?
けれど大人になった今、どれだけの人が、よく噛むことを意識されているでしょうか?
特に最近は嗜好の変化により柔らかい食べ物が多く、噛む回数や時間が減ってきたといわれています。
しかしこの噛む力、消化管を守るためにとても重要な役割を担っています。
口で始まる“消化の第一歩”
噛むことの生理学的な役割は、大きく3つあります
- 食物を細かく砕く(物理的消化)
- 唾液と混ぜ合わせる(酵素消化の準備)
- 胃腸へ「これから食べ物が行きますよ」とサインを送る(消化管の準備)
特に3番目の「消化管への号令」は非常に重要です。しっかり噛むことで唾液中の消化酵素(アミラーゼなど)が活性化して、胃酸や膵液の分泌が促されるのです。
脳と腸は「噛む」でつながっている?
咀嚼(噛む)という行為は、脳と腸をつなぐ「脳腸相関」とも呼ばれています。
咀嚼によって脳内の血流が増加し、自律神経を通じて腸の運動が活性化されるというメカニズムです。つまり、「よく噛む人ほど、腸もよく動く」というわけです。
噛まないと、腸内環境が乱れる?
噛まずに飲み込んだ食べ物は、大きな塊のまま腸に届きます。消化液とよく混ざりきっておらず消化不良の状態で運ばれてきます。その結果として腸内細菌のバランスが崩れたり、ガスが発生したりしてお腹の不調をきたしやすくなります。
特に高齢者では、噛む力の低下(咀嚼機能低下)が腸内環境の悪化 → 栄養吸収の低下 → フレイル(虚弱)という悪循環を来すと言われています。
よく噛むために気をつけること
- スマホを見ながら食べない(ながら食べを避ける)
- 急いで食べない
- 食事の時間をきちんととる
噛むことは、胃腸の最高のサポーター
よく噛んで食べることは、私たちが思っている以上に消化管全体に重要な役割を果たしています。
ただ食べるだけでなく、「どう食べるか」どうしたら良く噛めるかという視点で食事を見直してみませんか?