院長コラム

アスリート特集 おにぎり vs パスタ 腸に傷が多いのはどっち?

スポーツ栄養と腸内環境——意外な接点

近年、「アスリートの腸」は注目されるテーマになっています。
高強度のトレーニングによる**腸管バリア障害(leaky gut)**は、パフォーマンス低下だけでなく、免疫低下・疲労蓄積・消化不良などの要因ともされます。

特に持久系のアスリートでは、栄養補給の内容が腸内の炎症やダメージと密接に関係していることがわかってきました。

そこで浮かぶ疑問が、おにぎり中心とする和風炭水化物派と、パスタ中心とする欧米型炭水化物派、腸にやさしいのはどちら?というものです。

おにぎりは「腸にやさしい」伝統食?

おにぎりの主成分は日本人に親しみ深い白米。グルテンフリーであり、腸内の粘膜への刺激が少ないとされます。

  • 炊飯により水分量が多く、消化吸収も良好
  • グルテンによる腸内炎症リスクがない
  • 海苔や梅干しなど、抗酸化・整腸効果のある食材との相性も良い
  • おにぎりの主成分であるレジスタントスターチ(冷えたご飯中)は腸内細菌の餌にもなりうる

つまり、「和食中心+おにぎり中心のアスリート食」は、腸にやさしい可能性が高いというわけです。

パスタアスリートに潜む「グルテン」と「腸の傷」

一方、パスタやパン、シリアルなど小麦主体の食事を多く摂るアスリートにおいては、腸への負担が懸念されます。

  • パスタはグルテン(小麦タンパク)を多く含み、腸粘膜に微細な炎症を起こす可能性あり
  • 小麦由来のアミロペクチンAは血糖上昇も強く、インスリン分泌過剰に
  • 海外では「非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)」が運動時の腹部症状の原因として注目

もちろん、すべての人に害があるわけではありませんが、激しい運動によって腸が脆弱な状態(腸管虚血)になっているところへ、グルテン等が加わると、腸粘膜のバリアが破綻しやすくなる、というメカニズムが報告されています。

エビデンスと実例から見る「腸トラブル」

研究によると:

  • 持久系アスリートの30%以上に腸粘膜の障害マーカー(I-FABPなど)の上昇が確認されており、特にマラソンやトライアスロンでは顕著です。
  • 小麦由来の食品を除去したことで、腹部膨満・下痢・疲労感が改善した例も報告されています。

また、グルテンフリー食を実践するアスリート(ノバク・ジョコビッチ選手など)も増えており、「腸を整えることでパフォーマンスが上がる」ことを実感する選手も少なくありません。

腸に優しいアスリート食?

項目おにぎりアスリートパスタアスリート
消化吸収◎(柔らかく、水分が多い)△(固めだと胃に残りやすい)
グルテンなしあり(腸刺激リスク)
腸粘膜への刺激少ない多い可能性あり
冷やしても有用成分(レジスタントスターチ)あり少ない

おにぎりアスリートの方が腸にはやさしい傾向があり、レース中の下痢・腹痛に悩む方にはおすすめです。