院長コラム

アルコールによる胃腸障害

お酒によるダメージというと肝臓が思い起こさえるかもしれません。しかしアルコールは消化管(胃、腸)全体にとっても有害な影響を及ぼす存在です。

今回は、あまり知られていない「アルコールによる胃腸障害」について解説します。

口腔、咽頭、食道

アルコールは、口に含んだ瞬間から粘膜に影響します。

  • 口腔・咽頭・食道の粘膜を直接刺激
  • 肝臓で代謝されなかった分は呼気中に戻り、もう一度粘膜を障害する

咽頭食道領域の扁平上皮がんは、飲酒による直接刺激、ならびに呼気中のアセトアルデヒドのダブルパンチでリスクが跳ね上がります。

小腸・大腸

アルコールは小腸や大腸にも悪影響を与えます。

  • 小腸の粘膜細胞を傷つけ、栄養吸収が悪化
  • ビタミンやミネラル、特に葉酸・ビタミンB1・亜鉛の欠乏が起こりやすい
  • 腸内フローラ(腸内細菌)のバランスが乱れる → 下痢、便秘、過敏性腸症候群のような症状
  • 長期的にはリーキーガット(漏れ漏れ腸)を引き起こし、全身の炎症にも関与

“腸から始まる炎症”が、病気の引き金になることも

アルコールによる直接障害で腸バリア機能の破綻、結果として全身の慢性炎症を引き起こす可能性が注目されています。腸内細菌の代謝物が血中へ移動、結果肝臓を通り全身へ影響を及ぼします。

近年では、脂肪肝(MASLD)や大腸がんとの関連も示唆されています

「毎日1杯だけだから安心」と思っていませんか?日本人はアルコール代謝に弱い遺伝的体質を持つ人が多いため、少量・長期でもリスクが高まるのが特徴です。

お酒の毒素は、腸まで届いているかもしれません

アルコールによる影響は目に見えないところで進んでいる可能性があります。

お酒との付き合い方を見直すことは、がん・慢性炎症・代謝疾患から身を守る第一歩です。