院長コラム
潰瘍性大腸炎 トイレの不安と「しぶり腹」「便意切迫感」
潰瘍性大腸炎の患者さんにとって、日常生活で最も切実なのが「トイレの不安」です。外出先や旅行のときに「すぐトイレに行けるだろうか」と考えるだけで、気持ちが重くなることもあります。
その背景にあるのが「しぶり腹」と「便意切迫感」という症状です。しぶり腹とは、何度も便意を感じるのに、実際には少しの便や粘液しか出ない状態のこと。腸の炎症で直腸が過敏になり、便が残っているような感覚が続きます。
一方、便意切迫感とは「便意を感じたら我慢できず、すぐにトイレに行かないと漏れてしまうのではないか」という強い不安を伴う症状です。炎症によって便をためる機能が弱まり、急に便意が襲ってくることがあります。
これらの症状は、病気そのもののつらさに加えて、生活の自由を大きく制限します。「電車に乗るのが怖い」「旅行を楽しめない」と感じる方も少なくありません。
ただし、症状が落ち着いている寛解期には、外出や旅行を楽しむことも十分可能です。事前にトイレの場所を調べておく、早めに休憩をとる、主治医に相談して症状に合わせた薬を調整するなど、工夫することで安心して過ごせます。
潰瘍性大腸炎は、体だけでなく「心の負担」とも向き合う病気です。しぶり腹や便意切迫感を理解し、トイレ不安に寄り添う工夫を積み重ねることで、患者さんが安心して日常を取り戻すことにつながります。