院長コラム

「歯は命」って本当?

「芸能人は歯が命」昭和世代なら昔のCMフレーズを覚えている方も多いでしょう。
実はこの言葉、単なるキャッチコピーではなく、現代医学の視点から見ても大げさではありません。
歯や口の健康は、見た目だけでなく命にかかわる全身の健康に直結しているからです。

歯周病は日本人の成人の約8割がかかっているとされる国民病です。
歯ぐきが腫れる、出血するといった口の中の問題にとどまらず、歯周病菌や炎症物質が血流に乗って全身に広がり、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病の悪化、さらには誤嚥性肺炎などを引き起こすリスクを高めることが分かっています。

実際に、歯周病患者は心血管疾患のリスクが約1.5~2倍になると報告されています。

同時に歯を失うことは「噛む力の低下」に直結します。よく噛めない状態が続くと栄養の偏りを招くだけでなく、脳への刺激が減り、認知症の発症率が上がることも大規模研究で示されています。
厚生労働省の調査でも、歯が20本以上残っている高齢者は、15本未満の人に比べて要介護になるリスクが明らかに低いとされています。

現代において「虫歯ぐらい、歯周病くらい…」と軽視することはできません。
歯を守ることは、命を守ることにもつながるのです。

「歯は命」という言葉は、医学の進歩によってますます重みを増しています。
毎日の歯磨きと定期的な歯科受診は、健康寿命を延ばすための何よりの投資といえるでしょう。