院長コラム
女性特有の便秘(妊婦さんは医師へご相談を)
女性には月経があります。
女性は月経が始まる12歳前後で便秘の人が急に増えます。
その理由は、月経前後で女性ホルモンが入れ替わるためです。
排卵前は卵胞ホルモン、排卵後は黄体ホルモンが多く分泌されます。
生理前に便秘になりやすいのは、排卵日から生理まで多く分泌される「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が原因です。黄体ホルモンは腸の蠕動運動を低下させ、水分吸収を促進するため、便秘になりやすくなります。
便秘はいわゆるPMS(月経前症候群)の症状の1つです。
理想的な便の水分量は80~90%と言われていますが、生理前はホルモンの影響で大腸内に便が長時間留まり、生体内に水を溜め込もうとするため、水分がどんどん吸収されて、いわゆる「カチカチ便(水分量60%程度)」になります。
いきんでもしっかりでないため残便感があり不快に感じます。
ひとたび生理が始まると「黄体ホルモン」の分泌が減り、子宮を収縮させる「プロスタグランジン」が分泌されます。「プロスタグランジン」は腸管にも働き、ぜん動運動を促進するため、生理が始まると便秘は改善することが多いです。
待てば治る便秘ですが、どうしても辛い方には以下をおすすめします。
- 水分補給はこまめにすること
- 食物繊維と乳酸菌で腸内環境を改善
- 適度な運動で、腸の動きを活発にすること
- 「の」の字マッサージで、便通サポート をすること
- 薬剤(マグネシウム製剤、浣腸、刺激性下剤)
妊娠中は、なんと黄体ホルモンがでっぱなしで常に優位となるため、お腹が張ったり、便秘が長期化します。妊娠中は(月経周期の便秘と異なり)待っても良くならないので、下剤が必要となる場合があります。
下剤の種類によっては子宮収縮に悪影響を及ぼす薬剤がありますので、使用される場合は一度医師もしくは薬剤師へ相談することをおすすめします。