院長コラム
肝臓由来のかゆみ
全身がかゆいという症状の中に、内蔵由来のかゆみ、特に肝臓の病気が隠れていることもあります。
胆汁の流れが悪くなる(胆汁うっ滞)と、血液中に胆汁酸など本来は存在しない物質が増えて、皮膚の神経を刺激して強いかゆみが生じます。
1. 胆汁うっ滞とかゆみの仕組み
胆汁は脂肪を消化するために肝臓で作られ、胆道を通って腸に流れます。
この流れが滞ると、胆汁成分が血液中に漏れ出し、全身をめぐって皮膚に達します。
特に胆汁酸が神経を刺激し、抗ヒスタミン薬では抑えにくい独特のかゆみを起こすことがあります。
2. どんな病気で起こるか
・肝硬変:肝臓が硬くなり、胆汁の流れが妨げられる
・がんや結石による胆道閉鎖、閉塞性黄疸:胆管が腫瘍や結石でふさがれ、胆汁がせき止められる
・原発性胆汁性胆管炎(PBC):自己免疫により胆管が狭くなり、慢性的なかゆみが続く
これらの病気、かゆみが最初のサインになることもあります。
3. 特徴的なかゆみの出方
・夜間に悪化しやすい
・手のひらや足の裏に強く出ることがある
・入浴後に増悪、眠れなくなることもある
乾燥肌やアトピーのかゆみと違い、塗り薬や市販のかゆみ止めでは改善しにくいのが特徴です。
4. 受診と検査の目安
黄疸(皮膚や目の黄ばみ)、倦怠感、食欲低下などを伴うときは早めに内科を受診しましょう。
血液検査で肝機能評価や腹部超音波検査で上記のような病気を早期発見が可能な場合があります。
まとめ
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるため、かゆみが唯一のサインとなることもあります。
夜間や手足に強いかゆみが続く場合には、肝臓のSOSかもしれないと考え、早めに受診しましょう。