院長コラム
内臓脂肪を深堀りする1
なぜ内臓脂肪は悪者扱いされるのか?
健康診断やメディアで「内臓脂肪は生活習慣病の元凶」とよく耳にします。皮下脂肪と比べて、なぜ内臓脂肪だけがここまで悪者扱いされるのでしょうか。
内臓脂肪はお腹の奥、腸管のまわりや肝臓の近くにたまる脂肪です。見た目にはわかりにくいですが、血流が豊富で代謝が活発。そのため、単なるエネルギー貯蔵庫ではなく“活発にホルモンや炎症物質を分泌する臓器”のような働きを持っています。
ここから分泌されるのが、炎症性サイトカインと呼ばれる物質です。代表的なものにTNF-αやIL-6があります。これらは本来、感染やケガの修復に必要ですが、内臓脂肪が増えすぎると慢性的に分泌され、体全体に「低度炎症」を起こします。その結果、インスリンが効きにくくなり糖尿病を進めたり、血管を傷つけ動脈硬化を早めたりします。
さらに内臓脂肪が増えると、脂肪が肝臓に入り込み「脂肪肝」につながります。脂肪肝は放置すれば肝硬変や肝がんのリスクになることもわかってきました。つまり内臓脂肪は、お腹の中で静かに“病気の火種”を燃やし続けているのです。
一方で皮下脂肪は、エネルギーをため込む「倉庫」の役割が中心で、代謝的には比較的おとなしい存在です。同じ体重増加でも、内臓脂肪が多い人と皮下脂肪が多い人では、生活習慣病のリスクに大きな差が出るのはこのためです。
だからこそ、特定健診では腹囲をチェックします。
数値としては「腹囲85cm以上(男性)・90cm以上(女性)」がメタボリックシンドロームの基準。
体重やBMIだけでは見えないリスクを拾い上げる工夫なのです。
内臓脂肪が悪者扱いされるのは「体の内側から炎症をばらまき、生活習慣病の引き金になる」からです。見た目ではわかりにくいので、健康診断で早めに気づき、コントロールすることが大切です。