院長コラム
内臓脂肪を深堀りする4
脂肪はホルモン工場 ― アディポカインの正体
脂肪は単なるエネルギー貯蔵庫と思われがちですが、実は脂肪組織には体の中でさまざまな生理活性物質を分泌して他の臓器を刺激する大切な役割があります。脂肪細胞から分泌される生理活性物質は総称して アディポカイン と呼ばれます。
アディポカインには善玉と悪玉があり、そのバランスが健康に大きな影響を与えます。
まず注目すべきは アディポネクチン。
これは血管を守り、インスリンの効きをよくする働きがあり、糖尿病や動脈硬化の予防に役立つ善玉ホルモンです。皮下脂肪よりも内臓脂肪が少ない人で分泌が高く、肥満になると逆に減ってしまうことが知られています。
一方、レプチンは食欲を抑えるホルモンとして有名です。
本来は「十分食べたよ」と脳に伝える役割を担っていますが、肥満が進むとレプチン抵抗性が生じ、たくさん分泌されても脳が反応しなくなります。結果として食欲が止まらなくなるという悪循環に陥るのです。
さらに内臓脂肪からは TNF-α や IL-6 など炎症性アディポカインも分泌されます。
炎症性アディポカインは慢性炎症を引き起こして結果としてインスリン抵抗性や動脈硬化を進展させます。つまり脂肪が炎症をばらまく臓器になってしまうのです。
このように脂肪はホルモンを出して全身の代謝や炎症をコントロールするホルモン産生臓器としての役割があります。アディポカインのバランスが崩れれば病気の発症につながります。
飽食の時代、食べ物に困ることがない現代社会だからこそ、内臓脂肪をどう管理するかが問われています。