院長コラム

内臓脂肪を深堀りする9

追加コラム 丸腸をホルモンと呼ぶ、その意味

焼肉メニューでおなじみの「ホルモン」。
牛や豚の腸(特に小腸部分)を指す言葉ですが、この名前には面白い由来があります。

もともと「ホルモン」という言葉は、ギリシャ語の「ホルマオ(刺激する、呼び起こす)」に由来し、20世紀初頭に「体内で作られ、臓器の働きを調節する物質」を指す医学用語として定着しました。インスリンやアドレナリンなどがその代表格です。

一方、関西地方を中心に、牛や豚の腸を「ホルモン」と呼ぶ文化が広がりました。
その語源には諸説あります
①「放るもん(捨てるもの)」から転じたとする説
②腸には昔から“体の調子を整える力=ホルモンを出す場所”という認識があったとする説
などが知られています。

近年の研究では腸管や腸管脂肪組織から多くのホルモンが分泌されることがわかっています。
たとえばインクレチン(GLP-1やGIP)は小腸から分泌され、血糖を調節する重要なホルモンです。
また、腸の周囲にある脂肪細胞もアディポカインを出し、全身の代謝に影響を及ぼしています。

つまり、「丸腸=ホルモン」という呼び名は単なる言葉遊びではなく、昔の人々が腸や脂肪は体を動かす物質を出していると直感的に捉えていた可能性があります。
科学的な裏付けが進んだ現代から見ても、あながち間違いではないのです。

食文化の中に隠れた言葉の背景には、体の仕組みに対する昔の人の鋭い観察力が潜んでいます。
「丸腸をホルモンと呼ぶようになった」奥には、私たちが長い時間をかけて築いてきた食と医学の接点が息づいているような気がして、大きな感銘を受けたのでコラムにしてみました。