院長コラム
内臓脂肪を深堀りする10
追加コラム 日本人はなぜ内臓脂肪を貯めやすい?
日本人は欧米人に比べて同じBMIでも内臓脂肪をためやすい体質を持っていることが、数多くの研究で示されています。その理由を医学的に考えてみましょう。
1. インスリン分泌能の違い
日本人は欧米人に比べてインスリンを分泌する力が弱いといわれています。膵臓β細胞の分泌能が遺伝的に低いため、少しの肥満や内臓脂肪の増加でも血糖コントロールが乱れやすいのです。その結果、糖尿病の発症リスクが高まり、肥満度が低くにも関わらず「内臓脂肪型肥満」が病気に直結しやすい背景があります。
2. 食事パターンの変化
日本は古くから米を主食とする文化を持ち、炭水化物中心の食生活が基本でした。
米飯はパンやパスタに比べて油脂の使用が少なく、食後に血糖値が上がっても比較的早く下がるため、単独でみれば内臓脂肪を極端に増やす食品ではありません。問題は組み合わせにあります。
現代では食の欧米化に伴い、脂質と糖質を同時に多く摂取する傾向が一層強まっています。
炭水化物と脂質の組み合わせは内臓脂肪をため込みやすく、インスリン分泌能の低さと相まってリスクを高めているのです。
3. 遺伝学的背景
近年のゲノム研究では、日本人を含む東アジア人は「飢餓に備えて効率よくエネルギーをため込む体質」を進化の過程で獲得してきたと考えられています。これは食料が不安定な環境を生き延びるには有利でしたが、現代の飽食社会では内臓脂肪の蓄積につながりやすくなってしまいました。
4. 日本人の体格的特徴
日本人は欧米人と比べて筋肉量が少なく、基礎代謝も低めと言われています。
基礎代謝が低いと脂肪が燃えにくいため、余ったエネルギーを内臓脂肪にたまりやすいことも原因のひとつと考えられています。
アンチ内臓脂肪を意識した食事の工夫
主食+主菜+副菜のバランスを取る
主食を食べる時は、野菜やきのこ、海藻を組み合わせて血糖上昇をゆるやかに。単品の丼ものやカレーライスは内臓脂肪をためやすい組み合わせです。
“ベジファースト”で食べる
野菜やたんぱく質を先にとると、インスリン分泌が緩やかになり、脂肪蓄積を防ぎやすくなります。
脂質と糖質のかけ合わせを避ける
揚げ物+ラーメン、菓子パンなどは脂質☓糖質の代表例です
夜遅くの食事を控える
夜はインスリン感受性が低下するため、同じ量でも内臓脂肪に変わりやすくなります。
日本人は「少し太っただけ」でも生活習慣病のリスクが上がりやすい民族です。このため諸外国と比較してより厳しい特定健診では腹囲測定によるメタボの拾い上げが重視されています。