院長コラム
菌はからだの中にいるだけで悪?
菌がいる=病気になると思われがちですが、実際には必ずしもそうではありません。
医学的には「保菌」「静菌」といった状態があり、菌が体に存在していても症状を起こさないことがあります。
保菌とは?
「保菌」とは、体のどこかに菌を持っているけれど症状が出ていない状態を指します。
たとえば、のどや皮膚には常に多くの細菌がいますが、健康なときは病気を起こしません。
寝ていない、食べてない、感染症の後などの免疫が落ちたときにだけ、普段おとなしくしていた菌が悪さを始めることがあります。
静菌とは?
抗菌薬の効果を語るときに出てくる言葉で、「菌を殺す(殺菌)」のではなく「増えないように抑える(静菌)」という意味です。静菌状態では菌は存在しますが、増殖できず症状も悪化しません。
つまり「菌がいる」ことと「病気になる」ことは別物なのです。
菌との共存
私たちの腸や皮膚には、常在菌と呼ばれる菌が数多く住み着いています。
彼らは外から来る病原菌をブロックするだけでなく、人間のからだを維持するための信号を送る役割を果たしています。菌は必ずしも敵ではなく、環境やバランスが崩れたときに初めて“悪者”になるのです。
日本人の清潔好きです。
菌がいると聞くととてもよくない状態だと思考してしまいがちです。
からだの中に菌が存在すること自体は自然なことであり、必ずしも悪ではありません。大切なのは、
・体の免疫バランス
・菌の種類や量
・体調や環境
といった要素との関係です。
菌と共存しながら健康を保つこと――それこそが私たちが自然界で生き延びてきた叡智なのです。