院長コラム
共存・共生は生き物としてのベーシックな叡智?
人間の体は自分だけでできているわけではありません。
腸の中には100兆個を超える細菌がすみつき、皮膚や口の中にも数えきれない微生物が共存しています。最近では常在ウイルス叢(ウイルソーム)も存在することがわかり、私たちは菌やウイルスと切っても切れない関係にあることが明らかになっています。
では、なぜ異物ともいえる存在を抱えながら生きているのでしょうか。
それは、生き物にとって 共存・共生こそが生き延びるための知恵 だからです。
腸内細菌は食物繊維を分解して、短鎖脂肪酸を作って腸のエネルギー源を補給します。
ビタミン合成や免疫調整にも関わり、むしろいないと困る存在になっています。
皮膚の常在菌も、外から来る病原菌をブロックして私たちを守っています。
ウイルスにしても同じです。
潜伏感染や不顕性感染の形で静かに共存して、ときに免疫系を刺激してバランスを保つ役割を果たしています。
人間は進化の過程で、菌やウイルスは排除すべき存在ではなくむしろ彼らと手を組んだほうが得であると判断して共存を選択してきました。
適度な共存関係を保つことで病原体から身を守り、栄養を取り込み、免疫を鍛えることが可能となり、これこそが生態として長く生き延びるための叡智と言えます。
生命の神秘を感じませんか?