院長コラム
共存が崩れると免疫の自然発火が始まる
菌やウイルスと人間の関係は、静かな共存・共生のバランスの上に成り立っています。
ところが、そのバランスが崩れたとき、体の中で免疫の自然発火が起こり、やがて大きな炎症に発展することがあります。
ディスバイオシスとは?
腸内細菌の多様性が失われ、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れた状態を「ディスバイオシス」と呼びます。この状態では、腸のバリア機能が弱まり、わずかな刺激でも免疫が過剰に反応しやすくなります。
自然発火する免疫
本来免疫は「敵が来たときにだけ火をつける仕組み」です。
しかしディスバイオシスでブレーキが効かなくなると、無害なものにまで反応してしまいます。
いわば焚き火の火の粉があちこちに飛び散り、意図せず炎が広がっていくような状態です。
これが「免疫の自然発火」です。
大きな炎症へ
小さな自然発火が積み重なると、火種どおしが飛び火してやがて大きな炎症(慢性炎症)につながります。過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、アトピー性皮膚炎、関節リウマチなどの自己免疫疾患の引き金になることもあります。
バランスを取り戻すために・・・
大切なのは「炎を消す」ことではなく、「火がつきにくい環境を保つ」ことです。
・腸内細菌を整える(食物繊維・発酵食品などの食品摂取)
・十分な睡眠
・ストレス管理
・不必要な抗菌薬使用を避ける
これらが共存関係を守り、免疫の自然発火を防ぐための基本です。
一度共存のバランスが崩れると、免疫は自然発火して燃え広がりやがて大きな炎症を生み出します。
山火事と一緒で一度に特定の場所の火消しをするのではなく、まずは燃え広がらないように対処することが大きな炎症を収束させていくコツです。この考え方は私の専門である潰瘍性大腸炎、クローン病などの難病治療にも非常に大事な考え方です。
もっと大切なのは、火がつきにくい環境を保つ=腸内環境を不必要に乱さないということに尽きると思います。