院長コラム

最近疲れやすいのは年齢のせいって思っていませんか?原因は大腸にあるかもしれません。

ちょっと憂鬱な季節に突入しましたね。
皆さんも、なんとなくやる気がでない、疲れやすくなった、昔に比べて気力がなくなったなと思うことはありませんか?

病院に行くほどではないけど・・・なんだかすっきりしないのは「歳のせい?」と感じていませんか?年齢とともに老化するのは動物も人間も同じです。

「老化(エージング)」は年齢とともに様々な臓器、運動、筋力機能の低下とともに見た目や体力の低下をイメージされると思います。
従来は、老化に対して太刀打ちすることはできないと考えられてきました。
憧れなのか「アンチエージング」という言葉がもてはやされるようになってきました。
最近医学の世界では、同じ年齢でも実は「エージング」のスピードには個人差があり、その原因が腸にあることがわかってきました。

私たちの腸には約1000種類、100兆個の腸内細菌が住んでいると言われています。
体に良い菌もいれば、悪い菌もいます。
それらが仲間ごとに集まり、微妙なバランスで体の恒常性を保っていると言われています。
腸内細菌の構成やバランスは人種差があると言われており、生まれてから何を食べ、どんな薬を飲んできたかも影響するとも言われています。

最新の医学を駆使して腸内細菌を調べれば、これからどんな病気になりやすいのか予想できるし、それに対処できるようになるのではないか、腸内細菌を入れ替えればある病気は治ったり、発症を遅らせたりできると考えられています。

私の専門である潰瘍性大腸炎には「糞便移植(ヒトの腸内細菌を入れ替える治療)」が治療法として確立しています(日本では保険適応外治療です)。

腸内細菌の面白いところは、良い菌ばかり、同じような種類の菌ばかりになると逆に体調不良や病気の原因となること点です。つまり健康体でいるには「多様性」がとても重要とされています。
病気のみならず、しわやしみといった見た目の老化にも腸内細菌の「多様性」が影響することがわかってきています。

昔から女性は「便秘すると肌荒れしやすい」って言いますよね。
一見全く関係がなさそうな、便秘と肌荒れ。実は腸内細菌の問題かもしれません。
そう考えると、便秘と肌荒れそれぞれに対処するのではなく、食事から見直す必要がでてきます。

腸内細菌は、世界中の研究者が日々新しい発見を報告するために競い合っている分野です。
次回以降、少し腸内細菌について掘り下げていきたいと思います。