院長コラム
骨を強くする ビタミンDと潰瘍性大腸炎・クローン病
ビタミンDは腸の病気、とくに潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)とも深く関わっています。
腸を守る“バリア機能”を支える
ビタミンDは、腸粘膜バリア機能を保つ働きをしています。ビタミンDが不足すると腸のすき間が広がり(リーキーガット)、異物や細菌が体の中に侵入しやすくなり、慢性炎症の引き金になります。
免疫の暴走を抑える
潰瘍性大腸炎やクローン病は免疫が過剰に働き、体の一部を敵とみなして攻撃する病気です。
ビタミンDは免疫のアクセルとブレーキのバランスを取る役割を持ち、炎症を起こす細胞の働きを抑え、炎症を鎮める細胞を助けます。このためビタミンDが不足すると炎症が長引きやすくなります。
実際の研究からわかってきたこと
・ビタミンDが少ない人ほど、再燃(病気が再び活動して症状がぶり返すこと)が多い
・入院や手術のリスクが高い
・炎症マーカー(便中カルプロテクチンやCRP)が高くなりやすい
といった報告があります。
逆にビタミンDを補うと病気の活動が落ち着きやすい、という結果も示されています。
不足しやすい背景
IBDの患者さんは、炎症により必要な栄養素を吸収しにくかったり、排便のことでQOLが低下して結果として外出や日光浴を控えたりします。病気の活動期には食事制限があり、特に感染リスクや腹部症状をきたしやすい魚や乳製品を避けることが多いため、ビタミンD不足になりやすいと考えられています。
ビタミンDは腸の守り神です。潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんにとって、炎症を抑えて長期に症状がなく、腸管合併症(狭窄、穿孔)や発がんを防ぐことはとても重要な治療目標です。治療そのものではありませんが、間接的にビタミンD補充を生活の中に取り入れていくことは、病気とうまく付き合うために大切な工夫のひとつになると言えます。