院長コラム

小児クローン病 食事抗原のリスクと食事制限について

クローン病は腸に慢性的な炎症を起こす難治性疾患ですが、その中でも小児発症のクローン病は、成人発症と比べて食事の影響を強く受けることが知られています。

食事抗原と炎症

小児クローン病では、食べ物に含まれるたんぱく質、脂質、食品添加物など「食事抗原」に対して腸の免疫が過敏に反応していると考えられています。
腸の粘膜ならびに免疫システムがまだ発達段階にあり、ちょっとした刺激で炎症が誘発されやすいのが特徴です。この点は、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーと非常に重なる部分が多く、腸のアレルギー疾患とも言える特徴を持っています。

成分栄養療法の有効性

小児クローン病では成分栄養療法(消化吸収に負担が少ない、消化された特殊な栄養剤)が寛解導入に有効であることが臨床的に示されています。これは腸への抗原刺激を減らすと炎症が落ち着きやすいことを裏付けるものです。成人発症のクローン病では食事制限だけで完全な寛解を得るのは難しいのに対して小児では食事介入が大きな役割を果たすのです。

食事制限の難しさ

しかし食事制限が厳しすぎると、ストレスになるばかりか、成長発育障害につながるリスクがあります。小児期は心身ともに成長の真っ只中。食事を完全に制限するのではなく、医師や栄養士の指導のもと何を控えるかだけでなくどう補うかを一緒に考えることが大切です。

小児クローン病は食事と強く関係した病気です。
そのため食事療法は治療の柱の一つとして大きな意味を持ちます。
一方で成長に必要な栄養素を犠牲にしてしまうと腸を守るという観点からもかえって逆効果になることもあるため、医師と相談しながら食事制限と栄養補給のバランスを取ることが重要といえるでしょう。