院長コラム
潰瘍性大腸炎の謎 直腸炎型と結腸炎型は同じ病気?
潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性的な炎症が起こる原因不明の病気です。
日本でも患者数が年々増えており、現在30万人近くの人が罹患している指定難病です。
この病気の原因は現在までわかっていません。
病気の特徴として炎症が直腸から連続して広がっていくことは良くしられています。
一方で大腸のどの範囲まで炎症が及ぶかは人それぞれです。
潰瘍性大腸炎の分類(炎症範囲による分類)
潰瘍性大腸炎は臨床の現場では、炎症範囲により①直腸炎型(直腸に限局)②左側大腸炎型(直腸~下行結腸まで)③全大腸炎型(大腸全体)の3つに分類されています。
解剖学に従うと大腸は直腸と結腸に分かれています。これに基づき潰瘍性大腸炎の炎症範囲は、直腸のみ(直腸炎型)と直腸+結腸(結腸炎型)の2つに分けるのが妥当です。
臨床的にも直腸炎と結腸炎型は自然史(病気の経過)や予後は一様ではありません。
自然史と予後の違い
長期の経過観察で直腸炎型一部は比較的安定して経過するものと、発症から数年で左側結腸炎型や全大腸炎型へ進展するケースがあります。
そして病気の表現型が突然変わってしまうことがなぜ起きるのかはいまだに謎です。
ひょっとして“違う病気”?
専門医は、直腸炎型は免疫異常が局所(直腸粘膜)にとどまっている事が多いが、結腸炎型(左側型や全大腸炎型)は局所ではなく全身にも免疫異常の影響がでやすい事を経験しています。
研究者の間でも、直腸炎型と結腸炎型は同じ病気の程度の違いではなく、本質的に別の病態かもしれないという仮説があり、現在も研究が進められています。
今後マイクロバイオーム(腸内細菌叢)や遺伝子研究が進むことで、表現型のみの分類でなく、病態に沿って分類され、それぞれに合った治療戦略が確立されるとより理解しやすくなると思います。
潰瘍性大腸炎の直腸炎型と結腸炎型(左側大腸炎型、全大腸炎型)の自然史や予後は一様ではない謎が解き明かされ、個別化医療が検討されていく時代もそう遠くないと思います。