院長コラム
便秘のなぜ あなたはどちらのタイプ?
便秘と言っても、人によって症状はさまざまです。
診察していても患者さんの一人は「数日間まったく便が出ない」、別の方は「毎日便意はあるのに、出すのにとても時間がかかる」と訴えられます。
実は便秘には大きく分けて二つのタイプがあり、それぞれ原因も対策も違います。
排便回数減少型
もっともイメージしやすいのは「便が出ない日が続くタイプ」です。
腸の動きが鈍くなって便が大腸にとどまる時間が長くなることで、水分が吸収されて便が固くなってしまいます。原因としては食物繊維不足、運動不足、加齢などが多くみられます。
このタイプの治療
浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど):便を柔らかくして出やすくする
腸管分泌促進薬(ルビプロストン、リナクロチドなど):腸からの水分分泌を増やして便を滑らかにする漢方薬(大黄を含む処方など):腸のぜん動を促して排便を助ける
排便困難型
もう一つは「出したいのに出せないタイプ」です。
便は直腸まで来ているのに、いきんでも出し切れないという症状が特徴です。
骨盤底の筋肉の使い方がうまくいかないことや、直腸の感覚異常などが関係しています。
このタイプの治療
便を柔らかくする薬(浸透圧性下剤):出口付近の便をスムーズにする
座薬や浣腸:直腸に直接刺激を与え、排便を助ける
骨盤底筋トレーニング
あなたはどちらのタイプ?
便秘というと「出ない日が続く」タイプを思い浮かべがちですが、実際には「出しにくいタイプ」も少なくありません。便を柔らかくして腸の動きを助ける薬が合う人もいれば、出口付近の排便をサポートする薬が必要な方もいます。自己判断で薬を決めるのではなく、自分がどのタイプか医師と相談しながら適切な治療を選ぶことが、便秘改善への近道になります。