院長コラム

脂肪膵(NAPS)は老化ではない ― 膵臓にも脂がつく時代

健康診断で「脂肪肝」はお聞きになられたことがあると思いますが、「脂肪膵(しぼうすい)」という聞き慣れない用語、最近この脂肪膵の方増えています。
医学的には NAPS(Non-Alcoholic Pancreatic Steatosis非アルコール性脂肪膵) と呼ばれています。
脂肪膵は、代謝バランスの乱れによって膵臓の中に脂肪が入り込んだ、脂肪肝と同じ状態です。

脂肪膵とは

膵臓は血糖を調節するインスリンを作る大切な臓器。ところが脂肪が膵臓に沈着すると、インスリンを分泌するβ細胞が圧迫され、インスリン分泌機能が低下します。

結果として脂肪肝や動脈硬化が進んだり、将来的に糖尿病・膵がんのリスクが高まるといった負の連鎖が起こります。

脂肪肝と同じく、エネルギーの過剰が原因

脂肪膵も異所性脂肪です。原因は過食・運動不足などエネルギーの処理能力を超えた状態が背景にあります。余った脂肪はまず肝臓に、それでも入りきらなくなると膵臓・心臓・筋肉などに流れ込む異所性脂肪(Ectopic Fat)となります。脂肪膵は脂肪肝の次の段階です。

若い世代にも増えている脂肪膵

最近の研究では、30〜40代でも脂肪膵が見つかるケースが増えています。
BMIが高くない、痩せているけど脂肪肝や糖代謝異常が指摘されている人は要注意です。

NAPS早期発見と対策

脂肪膵は脂肪肝同様に自覚症状がありません。
超音波検査で膵実質が白くなると疑われますが、CTやMRI検査で指摘が難しいことが多いです。
脂肪肝や糖尿病予備群の人に超音波検査は非常に重要です。

脂肪膵を放っておけば糖尿病や動脈硬化へ進みますが、生活習慣を見直せば、膵臓は再び脂のない臓器に戻れます。