院長コラム

膵臓に脂がつく、脂肪膵と膵萎縮+脂肪置換の違い

健康診断やエコー検査で「膵臓に脂肪がついています」と言われたとき、それが病的か、老化かわからないことがあります。人間のからだは老化して臓器が萎縮していくと、脂肪に置き換えられていきます。膵臓はもちろん、乳腺などでも同じ現象にお目にかかります。
脂肪膵と脂肪置換は、どちらも膵臓に脂肪がついている状態ですが、原因もメカニズムも異なります。

脂肪膵は生きた膵臓に脂が入り込んだ状態

NAPS(Non-Alcoholic Pancreatic Steatosis)は、生活習慣病や代謝異常が背景にあり、正常に働いている膵細胞の間に脂肪が入り込んだ状態です。ためきれなくなった余剰な脂肪があふれて膵臓内に沈着して、炎症を起こしたり、機能低下を合併します。

脂肪置換(fatty replacement)は壊れた膵臓の修復跡

一方で、加齢、慢性膵炎などで細胞が壊れたあと、空いたスペースを脂肪細胞が埋めるように置き換わる現象を脂肪置換と呼びます。これは代謝異常の結果ではありません。したがって脂肪置換された脂肪が炎症や糖代謝異常を起こすことは少なくと言われています

見分け方のヒント

特徴NAPS(脂肪膵)脂肪置換
背景メタボ・糖尿病・脂肪肝慢性膵炎・膵管閉塞・加齢
膵機能正常~若干低下機能廃絶
画像均一に脂肪沈着・膵腫大傾向局所的脂肪置換・萎縮傾向
進行性あり(可逆性あり)なし(非可逆的)
意味合い代謝異常合併萎縮、瘢痕などの結果として

一番の違いは治せるか、治せないか

NAPSは、運動や食事改善で内臓脂肪を減らせば改善する可能性があります。
一方脂肪置換は失われた膵組織の残骸であり、元に戻すことはできません。
したがって残った膵機能をできるだけ守ることが大切になります。