院長コラム

ミトコンドリアの質と老化 について

歳を重ねると、疲れやすくなっり、体が冷えやすくなったり、そんな事を感じたことはありませんか？原因のひとつとして、ミトコンドリアの老化の関与が考えられています。
ミトコンドリアは、体の中にある“エネルギー工場で、細胞エネルギー（ATP）を生み出しています。
しかしその働きは年齢と生活習慣が大きく影響すると考えられています。

ミトコンドリアは発電所

私たちの体の中では、1日あたり約50kgものATP（エネルギー）が作られています。
その9割以上を担うのがミトコンドリアです。ミトコンドリアはエネルギーを作る過程で同時に活性酸素（ROS）を発生させます。活性酸素はいわば発電の副産物です。
ちょうど原発の核燃料廃棄物が問題になるように、活性酸素が過剰になるとミトコンドリア自身のDNAが傷つき、機能が低下していきます。
つまりエネルギーを作れば作るほど老化も進むという、皮肉な構造を持っているのです。

ミトコンドリアの老化させないために

ミトコンドリアの老化（酸化ストレス）は完全に避けることはできませんが、再生を促すことで質を保つことはできます。

食事は腹八分

常にエネルギーが余った状態になると、ミトコンドリアはフル稼働し続けてROSを出しすぎます。
腹八分は活性酸素を減らすために実に科学的な方法です。

空腹時間をつくる

空腹時間に働くオートファジー（自食作用）により古くなったミトコンドリアは分解しされ、新しいものに入れ替えます。時には夜食を抜く、16時間空けるなど、物理的に空腹な時間をつくることを極めて有効です。

運動

筋肉を動かすとAMPK・PGC-1αといった酵素が活性化され、ミトコンドリアの新生が促されます。
特にウォーキングやスロージョグなど軽い有酸素運動が効果的と言われています。
先日マラソン雑誌でミトコンドリア特集が組まれていました。
ランナーの皆さんはミトコンドリアまで配慮してジョグを組むんだと妙に関心しました。

睡眠

ミトコンドリアは夜間に細胞修復とDNA再生を行います。睡眠不足が続くと、修復時間が奪われます。
眠ることは代謝のメンテナンス時間でもあります。

抗酸化栄養素

ミトコンドリア自身を老化から守るには、酸化ストレスを中和して、ミトコンドリア膜を保護する抗酸化栄養素の摂取が欠かせません。

ビタミンC・E・βカロテン（緑黄色野菜・ナッツ類）
ポリフェノール（赤ワイン・ブルーベリー・カカオ）
コエンザイムQ10（魚・肉・内臓）
オメガ3脂肪酸（青魚・亜麻仁油）

「アンチ」ではなく「ウィズエイジング」

ミトコンドリアは、年齢とともに少しずつ減っていきます。若いころのように量を求めるのではなく、
質の良いミトコンドリアを維持するのがウィズエイジングです。疲れにくい、風邪をひかない、朝からからだが軽い状態をめざして、ミトコンドリアレベルの健康体を目指してみませんか？。