院長コラム

EMSのみで代謝は上がる? SIXPAD(シックスパッド)の限界とEMS+αで代謝を上げるコツ

運動は苦手だけど、SIXPAD(シックスパッド、EMS)を使えば同じ効果がありますか?と患者さんからよく質問されます。
EMSは筋肉を電気的に収縮させるので運動に近いように見えます。
しかし実際の体の中ではもう少し複雑な仕組みが働いています。

AMPKとは?

AMPK(AMP-activated protein kinase)は、エネルギーが足りない!という細胞のSOSセンサーです。

筋肉が動くとATP(エネルギー)が消費されるため、AMPKのスイッチがONになります。
すると①糖や脂肪の燃焼促進②ミトコンドリアの新生促進③インスリン感受性の改善④炎症の抑制のシグナルがでます。つまり、サッカーで言う所の、AMPKは代謝を整える司令塔です。

EMSでもAMPKは活性化する?

部分的にはYesです。

電気刺激によって筋収縮が起こると、局所的にATPが減り、AMPKが作動します。
結果、血流増加、筋内の糖取り込み増加、脂肪酸の燃焼増加など代謝促進が起こることが動物実験やヒトでも確認されています。実際にリハビリ目的のEMS(中周波・深部刺激)では、長期使用により筋萎縮予防・血糖改善効果が報告されています。

AMPKの活性化は、エネルギー消費、酸素需要、神経刺激の3つの要素で最大化します。

ところがEMSでは①エネルギー消費が局所的で全身消費とくらべて効果は非常に小さい②酸素需要はほとんど増えない③外部からの神経刺激による一時的な収縮のため随意運動より浅いため、極めて部分的な代謝スイッチしか入りません。

実際にEMSでAMPKは活性化しても、自発的運動で見られるような、PGC-1α(ミトコンドリア新生因子)の強い発現までは起きにくいことが知られています。

EMSの活用法

とはいえEMSが無意味というわけではありません。

✓運動制限のある高齢者やリハビリ中の方、寝たきりや長期安静者に対する筋萎縮予防
✓運動前の筋肉の目覚ましとしてのプレウォームアップ
✓運動後の回復促進(血流・乳酸除去)

上記のような状況では非常に有用です。
EMSで筋肉を刺激慣れして、実際に運動を行うとより筋肉が反応しやすくなるという利点もあります。

EMSは導火線、運動は炎、健康な人はEMS+全身運動が効果的

EMSはAMPKを刺激しますが、それはあくまで一部です。
全身の代謝を変えるには呼吸・循環・神経・筋肉が連動して動く必要があります。

EMSと軽い運動やストレッチを組み合わせるとAMPKとミトコンドリアの両方がしっかり動き出します。SIXPADとこの辺を考慮して、EMSトレーニングスーツ+エアロバイクの使用ができるような器具を用意しています。