院長コラム

健診謎とき 脂肪肝 ALT基準値の本当の意味

健診でよく測定される肝機能検査「ALT(GPT)」。
一般的な基準値は30〜40程度とされていますが、実は「脂肪肝を早期に拾い上げる」には、もっと厳しい目安があることをご存じでしょうか。

ALT 24(男性)/18(女性)が分かれ目

全国健康保険協会(協会けんぽ)などの解析から、男性:ALT 24以上、女性:ALT 18以上
を超えると、画像検査(超音波)で脂肪肝が確認される人がぐっと増えることがわかっています。

例えば、ALTがこのカットオフをわずかに超えた人の中には、30〜40%以上で脂肪肝が隠れているというデータもあります。

なぜこんなに厳しい基準なのか

ALTが40までは正常と思われがちですが、それはあくまで臨床検査上の基準値です。
ところが近年の疫学研究では、ALTが正常高値(20台)だと、脂肪肝や将来の生活習慣病リスクが有意に上昇することが示されています。

特に女性はALT上昇に敏感で、軽度の上昇でも脂肪肝や肝線維化のリスクが高まるため、男性よりさらに厳しい基準が設定されています。

脂肪肝を早期に見つける意味

脂肪肝(MASLD/NAFLD)は健診受診者の約30%にみられる一般的な病気ですが、将来、肝硬変や肝がんにつながたったり、動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞のリスクも上がることが知られています。

そのため、少し高いALTを軽視せずに、生活習慣の改善や必要に応じて精査につなげることが重要です。

ALTの厳しい基準値(男性24、女性18)背景には、心血管リスクも含めた「早期拾い上げ」の意図があります。ぜひ生活改善のきっかけにしてください。