院長コラム
ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)知っていますか?
まだまだ暑い日が続いています。
熱中症予防に水分摂取をこまめに行いましょうという注意喚起も多いかと思います。
暑い時、外で飲む清涼飲料水はひときわ美味しく感じるものです。
ただし、お水やお茶の代わりに無色透明の清涼飲料水をたくさん飲んでいると知らないうちに糖質を過剰に摂取することになります。
清涼飲料水に含まれる糖質は消化吸収されやすく、体内に入ると速やかに血糖値をあげます。
冷たい飲み物は甘さを感じにくいため、大量の砂糖が使われていても甘く感じず気づかないうちに大量の糖質を摂取している場合があります。
3gスティックシュガーを基準にすると、コカ・コーラは約19本分、ポカリスエットは約10本分もの砂糖を含まれています。
いつも飲んでいる清涼飲料水にどのくらいの糖質が含まれるのか成分表示を一度確認してみましょう。
「糖質ゼロ」も要注意です。
糖分が100mlあたり0.5g未満であれば「糖質ゼロ」と表記できます。
こうして、清涼飲料水を大量に飲むことが習慣化されてしまうと、常に血液中は高血糖状態となり喉の渇き、多尿、脱水などにより体はより水分を欲するようになります。
このため、更に糖質を含んだ飲料を摂取するといった悪循環に陥ります。
やがて血糖に対応するインスリンの分泌が自力では間に合わない状態になり、「ケトン体」という毒性を持った代謝成分が体内に蓄積して、全身倦怠感、嘔吐といった症状が現れます。
更に悪化すると、意識障害や昏睡に至ることがあります。
この状態をペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)といいます。
糖尿病は血糖を下げるホルモン(インスリン)の量が十分ではない状態(インスリン分泌不全)や十分に作用しない(インスリン抵抗性)で、血液のブドウ糖(血糖)が増えてしまった病気です。
日本人を含めたアジア人は欧米人に比べて、元来インスリンの分泌が少ないため(欧米人の約半分と言われています)、誰もが糖尿病にかかる可能性があります。
自分は痩せているから大丈夫と思っている方や家族歴がある方も要注意です。
夏場にペットボトルを飲んでも飲んでも喉が乾くと言われる人が周りにいれば、健診でひっかかっている人よりはるかに危ないです。
ぜひ医療機関に受診して、至急診察を受けましょう。