院長コラム

アスリート特集 過走行によるランニング障害のリスク閾値の可視化、これまでの常識を覆す

ランニング愛好者の間では、少しずつ距離を増やしていこうという指針が長年語り継がれてきました。しかし最新研究が示したのは、怪我は長期間の積み重ねではなく、ある一回のやりすぎ走行で起こるという事実が証明されました。これは私自身が経験してその後2度とはしれなくなったので、啓蒙活動の一環として医学雑誌を引用してコラムにしました。

デンマーク・オーフス大学らが実施した研究では、5,205人のランナーの走行記録を18か月追跡し、走行セッションが過去30日の最長距離を10%以上上昇すると、怪我の発生リスクが1.6倍に上昇することを明らかにしました。さらに距離の増加幅が大きくなるほど、そのリスクはさらに高まるとされています。

注目すべきは、週ごとの差では明らかな関連性が出なかった点です。
多くのランナーやスマートウォッチのアルゴリズムが週ごとの距離増加率に注目してきましたが、それよりも「一回の走行距離スパイク」が怪我に直結しやすいと示唆します。

この発見はトレーニング指導やアプリ設計にとっても転換点となる可能性があります。
近い将来、走行中リアルタイム赤信号(危険)を出すようなアルゴリズムがスポーツウォッチに実装され、負荷限界を越えないような科学的警告を出せる仕組みも議論されていくべきだと思います。

では、実際にどう走ればよいのでしょうか?

  • 過去30日の最長走行距離を基準に、1回の距離は10%以内に抑える
  • 距離を伸ばすなら、複数回の小さな増加(5%前後)を繰り返す
  • 走行時の違和感・痛みが出たら無理せず休息
  • 練習ログを記録して、1回の走行距離の変動を可視化

本研究は、ランニング界における長期増量重視モデルに一石を投じるものです。
走ること自体は健康に良いですが、怪我をすればもやはランニングそのものができなくなるばかりか、怪我の治療に多くの時間と労力を費やすことになります。
特にこれからランニングを始める人、ランナーを目指す学生の怪我予防、プロ選手にとってもできるだけ選手生命を長くするために、医学研究+テクノロージの進化が役立てる場面はまだまだ増えていくと思います。