院長コラム

骨を強くする ビスホスホネート製剤と心房細動の関係

骨粗鬆症治療薬として長年使われているビスホスホネート(BP)製剤は、骨折を防ぐ強力な効果がある一方で、心房細動(AF)が増えるのでは?と心配されることがあります。

最初に注目されたのは、ゾレドロン酸を用いたHORIZON試験です。
治療群にAFがやや多い傾向を示したことがきっかけでした。
しかし後続の大規模研究やメタ解析では、経口BPでは関連なし、静注製剤でも一時的な増加傾向にとどまり、統計的に明確な差は認められませんでした。

なぜ発症が見られることがあるかというと、投与直後に起こるサイトカイン放出による一過性の炎症反応が心房の電気的興奮を不安定にするためと考えられています。
ただしこれは一過性で、通常は数日で自然に落ち着きます。

心房細動の既往や弁膜症がある方では慎重投与が望まれますが、BP製剤投与による利益は圧倒的に大きく、骨折予防効果を優先するのが基本方針です。
心臓と骨、両方を守るために、定期的な心電図と主治医のフォローを続けることが大切です。