院長コラム

胃の不調 新視点で考える

胃酸が多いことより大切なこと

胃もたれや胃痛、ムカムカといった症状があると、「胃酸が多いのではないか」と考える方は少なくありません。実際、胃酸を抑える薬で楽になる人もいます。
しかし一方で、検査では胃酸の量に問題がないのに、つらさが続く人がいるのも事実です。
ここで大切なのは、胃酸は本来、消化や殺菌に必要な存在であり、決して悪者ではないということです。問題は、胃酸そのものではなく、酸をうまく処理できなくなっている状態です。

最近注目されているのが「酸クリアランス」という考え方です。
酸クリアランスとは、胃や十二指腸に流れた酸を、役割を追えたら速やかに中和して、粘膜を元の状態に戻す力のことを指します。
胃から出た酸性の内容物は、十二指腸で膵液や胆汁と混ざり、中和されて次の消化段階へ進みます。
この流れがスムーズであれば、胃腸は落ち着いて、不快感は起こりにくくなります。

しかし、何らかの理由でこの処理が遅れると、酸が胃や十二指腸内に長くとどまり、刺激となります。その結果、胃酸が多いわけではないのに、つらいという状態が生まれます。
胃の不調を考えるとき、「どれだけ酸が出ているか」よりも、「どれだけ役割を終えた酸を処理できているか」という視点が、とても重要になってきています。