院長コラム

改めて、個人が健診を受ける目的は?

健診の目的は早期発見や早期治療という言葉が思い浮かびますが、もう少し俯瞰して見ると二つの大きな意味があります。
一つは科学的な視点での死亡回避、もう一つは社会全体としての医療費抑制という経済的な視点です。

科学的な視点では、健診は症状が出る前の段階で疾患やリスク因子を見つけ、進行を食い止めることで、将来の重症化や死亡を減らすことを目的としています。
がん、心臓病、脳血管疾患、糖尿病、腎臓病は、ある程度進行してから見つかると治療が難しくなり、生命予後にも大きく影響しますが、無症状の段階で拾い上げることができれば、生活習慣の改善や比較的負担の少ない治療で治癒したり、自然経過を安定させることが可能になります。

一方、経済的な視点では、健診は将来発生する疾病で発生する医療費を抑制するための未来への投資とも言いかえることができます。
病気が進行してからの治療すればいいやと思う方は少ないでしょう。
進行すると、多くの場合には入院、手術、高額な薬剤を必要として、個人だけでなく社会全体の経済的負担が大きくなります。

定期的な健診により早期のリスク管理や早期発見により、進行や重症化を防ぐことができれば、長期的に見て医療費の総額を抑えることにつながります。

健診は今すぐの利益が見えにくいため後回しにされがちですが、個人にとっては命を守る仕組みであり、社会にとっては持続可能な医療を支える基盤でもあります。
健診を受けるという行為は、自分の将来への備えであると同時に、次の世代の医療を守る選択でもあると考えています。