院長コラム

11月17日(日)は「世界膵臓がんデー」

今年のテーマは、膵臓がんの危険因子を知ることです。
知識は命を救います。
危険因子が複数ある方は、特に要注意です。

膵がんと診断される方の約半数がステージ4と告知されます。
全がんの5年生存率が69%もある一方で、膵がんステージ4と告知された方の5年生存率は僅か4%(100人膵がんステージ4の患者さんが、5年後に生きている人は僅か4人)です。

膵がんの危険因子(リスクファクター)
・遺伝性疾患
BRCA突然変異(乳がん卵巣がん症候群)、嚢胞性線維症、家族性腺腫性ポリポーシス、家族性異型多発母斑黒色腫症候群(FAMMM)、リンチ症候群、遺伝性膵炎、PALB2突然変異、およびポイツ・ジェガーズ症候群などの遺伝疾患は膵がんとの関連が報告されています。
・家族性膵がん
膵がんを患った第一度近親者(母親、父親、兄弟姉妹、子供)が2人以上いる場合、または50歳より前に膵がんを発症した一親等の家族がいる場合は、発症するリスクが高くなる可能性があります。
・他の家族性がん
家族に卵巣がん、乳がん、結腸がん、または家族性黒色腫の病歴がある場合、膵臓がんのリスクが高まります。
・糖尿病
長期(5年以上)糖尿病を患っている人に発生する可能性が高くなります。
突然血糖がひっかかるようになった、糖尿病と言われた方の中に膵がんが隠れている場合があります。
・慢性膵炎
慢性膵炎は、膵臓がんを発症するリスクが高いことを示しています。
遺伝性膵炎に慢性膵炎を合併するとリスクはさらに高くなります。
・年齢
膵がんと診断されたほとんどの人は60歳以上です。
膵がんを発症する可能性は年齢とともに増加します。
・食事
赤身の肉や加工肉を多く含む食事は、がんを発症するリスクを高める可能性があります。
果物や野菜を多く含む食事はリスクを減らす可能性があります。
・大量飲酒
膵臓がんを発症するリスクは、飲酒されない人と比較して、毎日3杯以上のアルコール飲料を飲む人の方が高くなると言われています。
・タバコ
タバコを吸う人は、喫煙したことがない人よりも膵がんを発症する可能性が2倍高くなります。
・肥満
肥満の人は、正常な体重の人と比較して、膵がんを発症するリスクが20%高くなります。
・人種
日本人の膵臓がん年齢調整罹患率は世界第5位です。
理由はわかっていませんが日本人は要注意です。

膵がんの危険因子(リスクファクター)が複数(2個以上)当てはまる方は、早期発見につなげるためにもぜひ、腹部超音波検査(エコー検査)による膵がん検診をうけましょう。