院長コラム

五十肩

50歳前後に生じる、肩周囲の痛みや拘縮(関節が硬くなり、可動域が制限される状態)一般には五十肩、別名凍結肩と呼ばれていますが、俗称であり病名ではありません。

医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。これと似ている病気で間違われるのが、「腱板断裂」「石灰化腱炎」です。いずれも肩が痛くて腕が上がらない、夜眠れないほど痛いなど症状が非常に似ています。これらを区別するためには整形外科でのX線やMRIの検査が必要です。

五十肩は文字通り、40-50代の、デスクワーク者に多い病気です。時間がたてば自然に治る病気ですが、問題は痛みのため動かさないうちに関節が固まってしまい関節の可動域に制限が残ることです。発症直後、特に超急性期(最初の2週間)は無理をして肩を動かすのは逆効果です。 肩を使った激しい運動、重い荷物を持つなど痛みを伴う動きは避け、安静が必要です。炎症期(1~3か月)安静にしているときなどには痛みをほとんど感じなくなり日常生活で不便を感じることは少なくなりますが、本人が意識していないうちに以前より肩の可動域が制限されている場合があります。拘縮期(1~6か月)に移行したら動かして拘縮予防に努める必要があります。 回復期(6~24か月)拘縮期以上に積極的に肩の運動を行いますが、無理な動きをすると症状がぶり返す危険がありますので油断は禁物です。関節が固まって、日常生活に支障がでると手術が必要になる場合があります。