院長コラム

寒い夜、良く眠れていますか(睡眠と高血圧の関係)

眠れない人ななぜ血圧が上昇するか?

睡眠には、レム睡眠(体がねむっていて、頭が覚醒)ノンレム睡眠(体も脳も眠っている)

ノンレム睡眠はいわゆる深睡眠(深い眠り)で睡眠の質を大きく左右すると言われています。

ノンレム睡眠は自律神経の一つである副交感神経が優位になると起こり、いわゆる寝入りばなに起きる睡眠です。朝が近づくにつれて、レム睡眠主体で、浅くなり目がさめるようにできています。寝る直前に入浴したり、スマホを見たり、寝酒をしたらだめとされているのは、寝る前に交感神経を刺激した状態で眠りについてしまうと、ノンレム睡眠が得られないからです。

副交感神経優位とされるノンレム睡眠では、血管の緊張がほぐれ血管が拡張された状態が作りだされるため、睡眠中は血圧が10-20%下がるとされています(Dipper pattern)。これは頻繁な尿意、夢(レム睡眠で起こりやすい)のため、浅い眠り主体が続くと、血圧がさがらなくなります(Non Dipper pattern)。この状態を夜間高血圧(収縮期120㎎Hg以上、拡張期70㎎以上)と定義します。夜間高血圧で何が悪いかといわば、この状態で朝起床すると、血圧が急激に上昇(血圧サージ)をきたし、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるとされているからです。

外来で睡眠時無呼吸症候群の方の検査をしていると、無呼吸が多い方ほど、この深い眠り(深睡眠、ノンレム睡眠)の割合が圧倒的に少ないです。

深い睡眠を得るための工夫としては、体温が下がり始めると深い睡眠になりやすいので、寝る1時間前に、熱すぎない温度で入浴する、睡眠中は熱放出がうまくできず体温が上昇しやすくなると言われていますので、これからの時期熱中症予防も含めて、寝る前から冷房を上手く利用して、設定温度高め(27-28℃)で使用することをおすすめします。