院長コラム
50歳未満の若年大腸がん増えています
50歳未満で診断される早期発症大腸がん(early-onset colorectal cancer;EOCRC)の罹患率が世界的に上昇していると報告されています。
このタイプが厄介なのが、高齢発症大腸がんより発見診断までの時間がかかる点です(Clin Gastroenterol Hepatol 2017; 15: 728-737)。発見が遅れればそれだけ進行した状態で見つかるため、死亡率上昇の一因となっている可能性があります。
2,490万例超える早期発症大腸がん症例に関する81件の研究を用いたシステマチックレビューの結果、血便、腹痛、貧血を呈する例でEOCRCのリスクが高いことが報告されています(JAMA Netw Open2024; 7: e2413157)
一貫した比較対照群ではない研究をまとめて解析している点、日本人が対象として含まれていない点は注意して解釈しないといけないとは思いますが、50歳未満の若年者かつ、血便や腹痛などの症状がある場合あるいは症状が続く場合には、大腸内視鏡検査をためらわずに実施することが重要であるというメッセージだと思います。
便潜血を受けたことがない方で上記のような症状がある方は、一度クリニックまでご相談ください。
