院長コラム

11月8日「いい歯の日」歯周病ケアの重要性。 

現在、日本人が歯を失う最大の原因は「歯周病」です。
う蝕(むし歯)や歯の破折(歯が割れたり、かけたりする)を抑え、原因の4割を占めています。

歯周病は、世界で最も蔓延している感染症であり、 日本では成人の約7割、9000万人にみられ、年齢が上がるにつれ、その割合は増加します。

歯周病は、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)が歯肉に炎症を起こす病気です。
口腔内の細菌も腸内と同じ様に善玉、悪玉菌がいます。
悪玉優位に傾くこと(ディスバイオシス)が歯周病発症のメカニズムと考えられています。
生活習慣からくるリスク因子は、喫煙、肥満、糖尿病などがあります。

「歯周病」→「歯を失う」→「噛めない」→「やわらかいものばかり食べるようになる」→「噛む機能が低下」の悪循環になります。本来、歯は上下で32本(親知らずを除く28本)ですが、何でも噛むことができるためには20本以上保つことが重要といわれています(これが8020運動の語源です)
1989年から、日本歯科医師会と厚生省(当時)合同で「80歳になっても20本以上、自分の歯を保つ 8020運動」を推進しました。
開始当初「8020」達成度は7%程度でしたが、平成28年には51.2%と半数を超えるまでになりました。
歯周病で歯を失うことこそが、オーラルフレールにつながるといわれています。
奥歯でものがしっかり噛めないと、あごを動かすのに必要な筋力が低下します。

オーラルフレイルとは,口の機能が「健常」と「機能低下」との間にある状態です。

咬みにくさ,食べこぼし,むせ,滑舌の低下などのオーラルフレイルの症状は,いわゆる口の衰えの症状です。早期にオーラルフレイルの兆候を評価して適切な対策を行うことにより,機能低下を緩やかにすること(もしくは改善する)が可能となります。

咀嚼不良、さらに舌の筋力低下も加わると、食べものを飲み込みに支障が生じるため、誤嚥(誤嚥性肺炎)が起こりやすくなります。誤嚥性肺炎は圧迫骨折とならぶ寝たきりのリスクです。

これまでの介入研究の知見でも,身体的フレイル(健康と要介護の間),社会的フレイル,精神的フレイルなどの前症状としてでてくる、オーラルフレイルの予防こそが、要介護を回避して、健康寿命を延ばす重要なターニングポイントになってくると思います。

皆さん、歯磨きを今一度見直してみましょう!