院長コラム
タバコとがん(閉塞性肺疾患、肺がんについて)
COPDは別名たばこ病と言われており、原因の90%以上は喫煙です。
若い年齢で喫煙を開始した場合、喫煙年数(20年以上)が長い人、1日に吸うタバコの本数(1日20本以上)が多い人ほど慢性閉塞性肺疾患(COPD)になるリスクが高いとされており、40代以上の喫煙者に多くみられます。
タバコの煙に対する感受性も要因のひとつで、感受性の高い、低いは個人差があるので、40年以上喫煙歴のあるヘビースモーカの人でも慢性閉塞性肺疾患(COPD)になる人とならない人がいます。
喫煙者全体でCOPDになる人は15%程度と言われていますが、タバコを辞めない場合、10年後には慢性閉塞性肺疾患(COPD)によって死亡する確率が30%以上増加すると言われています 。COPDによる死亡率は喫煙者は、非喫煙者と比較して10倍高いとされています。
最近少しずつ、電子タバコとCOPDの関連に関する報告がでてきています。
電子タバコは肺胞免疫細胞からニコチン依存性プロテアーゼの放出を誘発することで、肺でのタンパク質分解が促進され、肺胞の破壊、更には慢性肺疾患を発症するリスクが高まる可能性が示唆されています(LC Davis et al Am J Respir Crit Care2022)
ダメージを受けた肺の機能は元に戻ることはありませんが、禁煙することでCOPDを発症するリスクは軽減することができます。禁煙するためのワンクッションとして、電子タバコに切り替える方もおられるとは思いますが、電子タバコへの切替え継続はCOPD発症、進行の抑制にはならないと考えられています。
喫煙を考えられている方には、禁煙方法を考えるきっかけになればと思ってコラムを記載しました。
電子タバコの最新情報については随時お伝えしていきたいと思います。